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OLノベル 秘密の社内恋愛 第2話

 居室を出ていく二人が視界の淵に入る。

ふんわりとウエーブさせた髪を無造作にひとつに束ね、黒いゴムで結んだだけの七海の向こうに匡春の輪郭がチラリチラリと見えるのだが、どんな表情なのかまではわからない。

私の大好きな、ちょっと困ったような笑顔をしているのだろうかと思うとつい眉間に力が入ってしまう。

そんな顔、七海に見せてたら、ヤダ。

以前、トイレで年下の女子社員たちが「夏木さんのヘアスタイルってナチュラルでステキだよね」と話しているのを耳にしたことがある。

そのとき、由紀は思わず鼻で笑ってしまった。「あの髪型は計算しつくされたものに決まってる」。

一度、完全にまっすぐにブローしたあとに4ブロックにわけて45ミリの太さのコテでフォアとリバースを交互に2カールして、さらにワックスをつけた手ぐしでこまかくほぐしてから束ねないと、ああはならない。

そんなこと、ちょっと見ればわかるのに、どうして彼女たちは気づかないんだろう。

ブスなうえにバカだ。

それに、トップの部分だって、毛束を少しつまみ出してボリュームを出している。

さりげなさを計算で演出する女—-それが七海に対する由紀の評価だった。

ファッションもシンプルビューティを気取っているが、それだって64ビットのパソコン並みの情報処理から導き出された結果に違いない。

でも、同性さえ気づかないとしたら、女性の隠れた努力にうとい匡春にわかるわけがない。

もし、彼が七海を好きになったら……。

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